諏訪ブログ

ディープに諏訪を案内するガイドのブログ
2024年11月26日 石埜三千穂

【石埜三千穂の諏訪フィールドワーク(1)】

<柿のある風景>
秋の農村風景といえば、柿の木です。諏訪もかなり柿の木が多いところで、北海道からいらした観光客が、青空に映える鈴なりの柿の光景を珍しがって感動している場に出会ったことがあります。

諏訪は寒冷地なので、甘柿はまずありません。なにしろ、甘柿の品種を植えても渋柿になってしまうのですから。そこでせっせと剥いて、紐に連ねて、軒に吊るし、干し柿を作るわけです。そのさまが秋の農村風景の決定版、「柿すだれ」。

けれど、干し柿どころか柿の実を収穫する家もすっかり少なくなりました。まあ、無理もないといえば無理もないのです。柿の木が盛大に植えられたのは、江戸時代後期もそうですが、やはり戦前~戦中の物資欠乏時代。柿はなにしろ大量に実を付けますから、貴重な甘い物として尊ばれたのです。けれど現代は、さまざまな甘い物が安価に手に入ります。干すにせよ、さわすにせよ、相当な手間がかかりますから、まあ仕方がありません。

柿が秋の空に映える風景、いつまで見られるのでしょうか。

石埜 三千穂

石埜 三千穂

スワニミズム事務局長、大昔調査会会員。NHK「ブラタモリ」「歴史探偵」への出演や少年ジャンプ「逃げ上手の若君」の取材協力と解説など、諏訪の文化、歴史について分かりやすく面白い説明には定評がある。元ゲームライターゲーム制作者の経歴も。2022年は「諏訪神仏プロジェクト」を中心メンバーとして実施。音楽、アート、幻想文学、ゲームなど幅広く深い知識を持つ。