諏訪ブログ

ディープに諏訪を案内するガイドのブログ
2024年12月21日 林 聡一

【林】諏訪らしさってなんだろう?〜冬のツアー「厳しい自然と生きる知恵。信州諏訪の深き冬を味わう」

スワペリ(「SUWAエクスペリエンス」の略称。名前が長いこともあり(笑)こう呼ばれることも最近は多くなってきました。ありがたいです。)の冬のツアーができました。宿泊、三食付き。あえて、寒い冬の諏訪を味わってもらおうという企画です。→「厳しい自然と生きる知恵。信州諏訪の深き冬を味わう〜自然と歴史に紡がれた食の物語」


「諏訪らしさ」ってあるような無いようなもので、誇れるようなものがあるのか今だに正直よくわかっていないのですが、煎じ詰めると制約条件が多い中で、(山中、耕地が少ない、冬極寒、はっきり言ってそんなに恵まれた環境ではない)あるものを活かして、「豪華」「洗練」とは違う豊かさをなんとか作り出そうとする工夫や知恵、はあるのかも、と感じています。そしてそれが強く感じられるのが冬です。

 《諏訪湖全面結氷、小さいけど御渡り(2018)今のところ最後に御渡りができた年。まさに極寒》

この地の風土、歴史とその中で工夫を重ねて作られた食と酒を作り手との対話も含めて体験していただこうというのがこのツアー。諏訪の冬は本当に厳しいです。でもここの冬ならではの諏訪大明神(=自然)からのご褒美ー独特のご馳走とお酒と温泉、があります。

特に3回の「食」にはこだわりました。知り合いの信頼できる料理人の方々に、「諏訪らしくて美味しいもの」をつくってください、とお願いしました。夕食は先日「前哨戦」として東京の食道楽の友人達にプライベートツアーに来てもらった(もちろん、しっかりお支払いいただいて)時に、同じ方(二十四節気神楽 武居さん)にやはり「諏訪らしく」とお願いし料理をつくっていただいたのですが、友人たちに大絶賛され自信が確信に変わりました。お昼は地元で「鹿料理」プロジェクトを引っ張っている(と僕は思っている)男、本田食堂の本田さん。さらにお泊まりいただく宿(ぎん月)の朝食も、健康で美味しいとみなさんの評判がいいです。そして諏訪大社にまつわる伝説の「綿の湯」源泉掛け流しの温泉は本当に滑らか。

《二十四節気神楽 のっぺい汁〜神楽さんのシグネチャー料理。シンプルに突き詰めた美味しさ。芯からあったまります》

《本田食堂 シナノユキマス、白菜、りんご、セロリアックのサラダ〜本田さんは鹿をはじめ肉も美味いが前菜も美味い》

《ぎん月さんの温泉は、伝説に彩られた「綿の湯」。本当になめらかです》

日本酒づくりについて、真澄さん(宮坂醸造さん)のお蔵を改修し今年オープンしたばかりの特別なお部屋でセミナーとテイスティングの機会をご提供いただき、イリセンさんでは社長自ら寒天づくりの伝統と革新についてお話しいただき、喜多屋醸造さんでは、素敵な役員の方から味噌造りのお話を伺って、実際に造る体験もさせていただきます。(自分で造った味噌はお持ち帰り!)(*それぞれお話しいただく方は、事情により変更になる可能性はあります)

《真澄さんの酒蔵を改修した特別なお部屋でのセミナーとテイスティング!》

《イリセン 茅野社長〜伝統を守りつつ革新していく姿は諏訪らしい、と呼ばせていただきたい》

《喜多屋醸造 長峰さん姉妹〜お二人で味噌屋さんを継いでいくという姿は本当にかっこいい》

更にというか、極め付けは、早朝めちゃくちゃ寒い中、諏訪湖の神秘的な自然現象「御渡り」を「観察」する約6世紀に渡り続く「御渡り観察」への参加。こんなツアーでも無い限りなかなかわざわざ行かないですよね。(笑)*御渡り自体は、近年の温暖化の影響もあり、みられない可能性も大いにあります。でも、諏訪湖の様子をこの時期毎日「八剱神社」の宮司さと総代の方々が観察に行かれるのです。それに同行します。

《御渡り観察をする八剣神社宮坂宮司と総代の皆さん。観察は毎年1月から2月初旬にかけて毎日欠かさずに行われ、2025年で583年目。世界的にも貴重な気象観測で、近年は地球温暖化の推移を確認するデータとして世界中の環境学者に注目されている》

「諏訪諏訪」とうるさいですが(苦笑)、本当はこの地の特殊性ではなく、日本人というか、人間が制約条件の中で豊かさを見つけようとする知恵、みたいなものに至れれば最高だなあ、と思っています。一緒にそれを見つけに来てくださると嬉しいです。

ツアー情報→「厳しい自然と生きる知恵。信州諏訪の深き冬を味わう〜自然と歴史に紡がれた食の物語」

林 聡一

林 聡一

スワニミズム美術部、大昔調査会会員。広告・マーケティング会社を経て、SUWAエクスペリエンスを立ち上げる。事業を実施する「有限会社丸ト林商店」代表。全国通訳案内士、国内旅行業務取扱管理者。2022年「アートの歴史を変えた諏訪人」松澤宥生誕100年祭実行委員長。音楽、アート、日本酒、フェス、旅行をディープに楽しむのがライフワーク。